音名と階名の違いは何?知らずに使うと混乱するこの二つ

音名と階名の違いを説明してください」と言われたら、自信を持って答えられるでしょうか?

教科書的な答え方をすれば、「音名は、音の高さにつけられている固有の名前で、階名は音の配列の中である音が基準となる音からどのくらいの間隔なのかということを表す名前」ということになるのですが・・・

なんとな〜くモヤモヤしませんか?

例えば、お子さんがピアノを習い始めると、最初に「ドレミ」を覚えます。親指(1の指)はド、人差し指(2の指)はレ、中指(3の指)はミ、ほとんどの場合、そう習います。

そして、しばらくすると別の調が出てきます。そうすると今度は親指(1の指)はソ、人差し指(2の指)はラ、中指(3の指)はシと習うようになるのです。

この辺で頭に「?」が浮かんだりしませんか?

おかしいな、ドレミファソは確か、階名だったはず。。。階名は調が変わってもドレミファソって読むんじゃなかったっけ??

そういう疑問を持ったことがあるというあなたは、とっても聡明な方ですよ!!

今日は、そんなモヤモヤがスッキリ晴れるように音名と階名の違いをイチからお話しします。少し長くなりますが、どうぞおつきあいくださいね。

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私たちは1オクターブを12に分割して認識している

まず、大前提として押さえておいてほしいのは、私たちは1オクターブを12に分割して音を認知しているということです。

本来、低いところから高いところまで、音は切れ目なく繋がっていますよね。その中である音を起点として1オクターブ上の音までを切り取ってみます。

これを12に分割してみます。ちょうど、12段上ると13段目は1オクターブ上の同じ音に届く階段のようなものだと思ってみてください。

そして、この階段の1段の幅を半音と呼ぶと覚えてください。半音が二つで全音となります。ですから1オクターブは12の半音、あるいは6つの全音から成っているのです。

この1オクターブの12の半音を白と黒の鍵盤に割り振っているのが、ピアノなどの鍵盤楽器です。

音名、階名を理解するには鍵盤が一番わかりやすいので、今日はこれを使って説明します。

音名は音の高さにつけられている名前

下の図を見てください。

Aと書かれている鍵盤が、通常440〜442Hzに調律される音で、この音の音名は英語ではAと言います。

次に、このAから左に移動して(音は低くなります)、ちょうど88鍵のピアノの真ん中辺にある鍵盤、これが英語でC、日本語ではという音名の音になります。

白鍵の音につけられている名前

では、白鍵の音の音名を見てみましょう。

英語、日本語、ドイツ語、イタリア語で音名を一覧表にしてみました♪

英語CDEFGAB
日本語
ドイツ語CDEFGAH
イタリア語DoReMiFaSolLaSi

イタリア語の音名は「ドレミファソラシ」なんですね!

黒鍵の音につけられている名前

では次に黒鍵の音の音名です。

まず、CとDの間にある黒鍵を見てください。

これはCから見れば半音高く、Dから見れば半音低いです。ある音を半音上げる時は(シャープ)を、半音下げる時は(フラット)を付けます。したがって、CとDの間にある黒鍵の音の音名は、C#(シーシャープ)、あるいはDb(ディーフラット)となります。

その他の黒鍵も同じ要領で名前がついています。日本語では♯=嬰(えい)、♭=変(へん)と表記します。

では黒鍵の音の音名一覧です。こちらは英語、日本語、ドイツ語の3つを載せておきますね。

英語C#
Db
D#
Eb
F#
Gb
G#
Ab
A#
Bb
日本語嬰ハ
変ニ
嬰ニ
変ホ
嬰ヘ
変ト
嬰ト
変イ
嬰イ
変ロ
ドイツ語Cis
Des
Dis
Es
Fis
Ges
Gis
As
Ais
B

ちなみに鍵盤を見ていると、間に黒鍵がなく、白鍵がくっついているところが1オクターブの中に二箇所あるのがわかります。EとFの間と、BとCの間がそれに当たります。

この二箇所はちょっとややこしく、Eに♯をつけて半音上げると、白鍵のFと同じ音になってしまいます。同様にFに♭をつけて半音下げると白鍵のEと同じ音ですね。

それをまとめたのが下記となります。

  • E#(嬰ホ)=F(ヘ)
  • Fb(変へ)=E(ホ)
  • B#(嬰ロ)=C(ハ)
  • Cb(変ハ)=B(ロ)

そうしょっ中出て来るものではないですが、一応頭の片隅に置いておいてください。

尚、音名についてはどの高さのハなのか、そこまでを特定できるように「一点ハ」などと言う呼び方もあります。けれど、ここまでは覚えなくても特に支障はないでしょう。

以上が、音名についての説明となります♪

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階名は音の並び方を表す名前

一方、階名とは「ある法則に従って並んでいる音の配列がある時、基準になる音と個々の音がどれくらい隔たっているのかを表す、配列内の個々の音につけられた名前」と言えるでしょう。

先ほどの音の階段を思い出してください。

今度は一段毎に色を変えてみました。前に私たちは1オクターブ内の音を12に分割して認知していると言いましたが、一番下の段の赤から数えて13段目が1オクターブ上の赤です。

この階段の中の音をいくつ選んでも、また何色を選んでもいいわけで、その音並びを「音階」と言います。

世の中には様々な音階がありますが、中でも特に私たちの耳に馴染んでいるもの、それが「ドレミファソラシ」です。

ドレミファソラシの音の並び方

それでは、ドレミファソラシがどのような法則で並んでいるのか調べてみましょう。

まず、1オクターブ内の7つの音から出来ているということはすぐ分かりますよね?

次に一つずつの音の間隔について見て行きます。

すべての音が同じ間隔で並んでいるのではないんだ、ということに気がつきますね。

階段の一段は「半音」、半音が二つで「全音」ですから、ミとファ、シとドの間隔は半音、あとの音は全音の間隔で並んでいる音階だということが分かります。

このドレミファソラシ(ド)の音階を長音階(英語ではMajor scale)と言います。

【長音階の音の並び方】

  • 1オクターブの中のある音を基準とする。
  • そこから全音全音半音全音全音全音半音の間隔で順に音を並べて行く。
  • すると、8番目に1オクターブ上の音にたどり着く。
  • 基準の音から順にドレミファソラシ(ド)と名前がついている。
  • これを階名という。

ここまで、大丈夫でしょうか?

階名を実際の音に当てはめる

それではまた鍵盤の図に戻ります。

今、ハの音を基準の音=ドとして選びます。そして、この音から順番に全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音と音を並べて行くと、、、

すべて白鍵で収まってしまいました!

このようにハの音を基準とした長音階(ドレミファソラシド)のことをハ長調と呼びます。

そして、この基準の音のことを主音と呼びます。

ピアノの鍵盤はハ長調の音階がすべて白鍵で弾けるように作ってあることがわかりますね。

1オクターブ内の12の音すべてから、長音階ができる

1オクターブには12の音がありました。これらすべてが主音となることができるので、そこから全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音と音を並べて行けば、12種類の長音階ができるということは想像に難くないですね。

ただし、ハ長調以外は黒鍵を使わないと行けませんが!

一つ例をあげてみましょう。

トの音を主音に選びます。先ほどはハの音をドと考えましたが、今度はトの音がドになります。

これは、トの音を主音とした長音階ですから、ト長調ということになります。

つまり、ドレミファソラシはその都度、移動するものなのです。

階名を音名のように使う人たち

さて、ここでこの記事の冒頭でご紹介した疑問に答えなくてはいけません。

懐かしい童謡「チューリップ」を歌う時、ハ長調なら文句なしに「ドレミー ドレミー ソミレド レミレー」と歌います。

では、ト長調で歌うとどうなりますか?

階名は移動するものですから、ト長調で歌う時は音の高さは変わるけれど、やっぱり「ドレミー ドレミー ソミレド レミレー」と歌うのが本来なのです。

・・・ところが!

世の中にはト長調でチューリップを歌う時「ソラシー ソラシー レシラソ ラシラー」と歌う人たちが存在します。しかも、それがピアノの先生だったりします!(実は、、、かくいうワタクシもその人種だったりします。。。)

音楽を仕事にしている人たちがこういうことをやっちゃってるので、皆さんの頭を混乱させているんだと思います。m(_ _)m

固定ドと移動ド

実は、これは「固定ド唱法」という歌い方で階名をハ=ドと固定してしまって、ドレミファソラシを音名のように使う歌い方なのです。

これに対して、調が変わる度にその主音をドにして歌う歌い方を「移動ド唱法」と言います。音大の入試では、どちらの歌い方で歌うのでも良いことになっています。

固定ド唱法では、すべての調をハ長調と同じ読み方で歌うことができるので、初めて楽譜を見る時にいちいち「えーと、これは○調だから、五線のここの所がドになって。。。」という変換をせずにすぐに歌えるので便利なのです。

ただし、音楽理論上はちょっと邪道と言えるでしょう。

あなたはどちら派?

あなたは固定ド派?それとも移動ド派?

ト長調のチューリップを「ソラシー ソラシー」と歌いたくなる人は紛れもなく固定ドです!反対に調が変わってもいつでも「ドレミー ドレミー」だよ、と言う人は移動ドです。

どちらでも良いのです。自分が歌いやすい方で。ただし、自分は固定ドなのか、それとも移動ドなのか、ちゃんと自覚した上で使うことが大切です。

でないと冒頭の話のように調が変わった時に大きな「?」を残すことになってしまいます。

まとめ

では、全体のおさらいです。

  • 音の高さにつけられている固有の名前を音名という。
  • 1オクターブ内の音を選んで並べた音の配列を音階という。
  • ある音から全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音の順に並べた音階を長音階という。
  • 音階の各音はド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シと呼び、これを階名という。
  • 階名は何の音を主音に選ぶかによって移動するので、調が変わると違う音名の音を同じ階名で呼ぶことになる。
  • ハ=ドと固定して階名を音名のように使う歌い方を「固定ド唱法」という。

いかがでしょうか、音名と階名の概念はわかって頂けたでしょうか?

「ドレミ〜」の使い方について、あなたの頭の中の「???」が少しでもスッキリしたなら、とても嬉しいです♪

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